バカ言ってらあ
日本産婦人科医会会員各位
社団法人日本産婦人科医会
医療対策部
担当副会長 佐々木 繁
医療対策担当常務理事 佐藤 仁
コ・メディカル担当常務理事 神谷 直樹
助産所との嘱託医契約について
今般の医療法改正において、助産所開設者は嘱託医と連携医療機関を定めなけ ればならなくなりました。
嘱託医制度は以前から存在しておりましたが、今回は厚生労働省令で産婦人科医とするよう定められる予定です。形骸化していた制度が厳密化されることになりました。
産婦人科医にとりましては、謂れのない圧力を受け心身ともに疲弊している状態に、更なる負担を強いられるものです。従いまして全面拒否の姿勢を示したいところですが、国民 に「より安全な周産期環境」の提供を目指す本会といたしま しては、やむを得ないことと考えます。
そこで、ここに嘱託医契約書モデル案を提示いたしますのでご利用いただければ幸いです。
本モデル案は、嘱託医になるに当たっての必要事項を盛り込みましたが、これでは過不足と思われる場合には、本会ホームページよりダウンロードをして、適宜加除修正の上ご使 用いただきますようお願い申し上げます。
嘱託医契約は個人の立場で行われるものであり、本会が強制するものではありません。
従いまして、本契約の締結に当たっては、先生のQOLを十分考慮されまして対応いただければと思います。
なお、連携医療機関における契約書案は別途日本産科婦人科学会を中心に検討することとなっております。
【著者コメント】このようなものを,日本産婦人科学会は会員に配ったわけです.しかし,もちろんこれが産婦人科学会の本音ではありませんし,このようなことを奨励しているわけではない.同時に,下のような,助産所との契約のひな形(嘱託医契約書モデル案)も掲載していました.くどいけど,一応出しておきます.産婦人科医と助産所の奇妙な関係の感じはつかめると思います.
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ポイントは
○全責任は,最初にお産に手を付けた助産所にある.
○いつでも受け付けられるわけではないし,いつでも駆けつけられるわけではない.
・・・至極当然.しかし,ここまで書かないとパラメディカルとタッグを組むのは危険.助産所とのタッグ・・・ヘタをするとはまる.せっかく貯めたなけなしの財産が全部取られる事だってあるし,キャリアにも傷がつく.しかも他人のしでかした事でだ! これも常識.
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嘱託医契約書モデル案
甲(助産所開設者)及び乙(産婦人科有床診療所開設者)は、以下のとおり合意する。
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第1条 甲は、乙に対し、乙が甲の助産所の嘱託医になることを委嘱し、乙は嘱託医になることを受諾する。なお、甲は、現行法から逸脱した業は行わないこととする。
第2条 甲及び乙は、相互に緊密な協力関係を築き、妊婦の妊娠から分娩に至るまでの安全を確保すべく双方最善の努力をする。
第3条 本契約の期間は平成○年○月○日から平成○年○月○日までとし、期間満了の1か月前までに双方から契約終了の申し出がない場合は、さらに同一期間本契約を更新するものとし、以後も同様とする。
第4条 甲は、乙に対して、委嘱の報酬として、金○円を平成○年○月限り支払う。第3条により、契約を更新する場合には更新時に同額を前払いする。
第5条 甲及び乙は、相互の協力関係を明確にするため、次の事項を確認する。
(1) 甲は、妊娠経過観察中の患者については、分娩までの間、少なくとも妊娠の前期、中期、後期の3回は乙の診察を受けさせるよう努め、乙は甲からの診察の要請があった場合、特段の事情がない限りこれに応ずるよう努める。
(2) 甲乙間の協議で必要と認めた妊娠中の血液検査等については、乙において実施する。
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(3) 甲が乙に対して患者の紹介・往診を要請したときは、乙は事情の許す限りそれを受け入れる。患者の搬送が必要となったときは、乙は事情の許す限りこれを受け入れるか、又は、患者の搬送先を紹介するよう努める。但し乙の診療に支障をきたす場合はこの限りではない。上記受け入れ可能であった場合に、甲は、乙および搬送先医療機関に対して、診療録(妊娠・分娩経過記録)を開示すると共に、患者やその家族に説明した事項を文書で報告しなければならない。
甲は妊娠・分娩経過が正常から逸脱した場合は、時期を失することなく、乙又は、搬送医療機関に搬送する。時期を失した搬送による母児の不利益は、搬送義務違反として甲がその責を負う。(「助産所業務ガイドライン:平成16年日本助産師会発行」の遵守)
(4) 甲は乙に対して、分娩その他のために、妊婦が甲の助産所に入所予定となった場合、或いは、分娩介助を依頼され、これを承諾した場合には、速やかに(○日以内に)、診療経過および予定日等を連絡するとともに、分娩が終了したとき又は退院したときは、速やかに、その旨を連絡する。
第6条 甲は、乙に対して下記の事由に基づく、第三者(妊婦やその家族を含むがそれに限定されない)の助産行為から生じる一切の請求(損害賠償に係るものを含むがそれに限定されない)、訴訟費用(請求に対する防御を行う上で要する乙側の合理的な法的費用のすべてを含む)、支出、及び損害(以下「請求等」という)について、その全額を補償しなければならない。
2 乙は、甲による補償の対象となる事項についても、何人(甲を含む)に対しても独自に法的防御を行うことができる。
3 甲は、乙との書面による事前の同意がない限り、請求等に係るいかなる事項についても第三者と和解を行ってはならない。
第7条 (資力の確保)甲は、第三者からの請求等に対して十分な資力(保険への加入を含む)を確保しなければならない。
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2 甲は、その資力に変動があった場合は、直ちに乙に対して通知しなければならない。
第8条(無保証)乙は、甲及び第三者に対して、乙が行う助産行為の結果についていかなる保証もしない。
2 甲において行う助産行為に関するリスクのすべては甲に帰属する。甲は、甲の管理の下で行ってきた助産行為に瑕疵があると判明した場合、それを改善するに要するコストのすべて(乙において生じるものを含む)を引き受け、乙に対し、何らの補償を求めないものとする。
第9条 (免責)甲は、乙に対して、甲の妊婦を転送したこと及び転送する過程により生じる直接・間接の損害、特別損害(予見の有無を問わない)、逸失利益、顧客からの信用失墜、又はそれらを修復する際に生じる費用(人件費、交通費、復旧費用)等に係る一切の責任を免除する。
2 前項の免責は、そのような損害が生じる可能性について乙があらかじめ知らされていた場合であっても、同様とする。
第10条 (契約の解除)乙は、甲が次のいずれかに該当するに至ったときは、乙は、何らの催告を要せず、直ちに本契約を解除することができる。
(1)甲が本契約に違反したとき
(2)甲の資力が不十分であると認められる状況になったとき(破産、民事再生手続開始の申立て等を含むがこれらに限定されない)
(3)第7条2項の規定に反し、甲が乙に対して速やかに資力の変動を通知しなかったとき
第11条 (完全合意)本契約は、当事者間の完全合意を構成し、本契約に関する口頭又は書面によるこれまでの一切の明示・黙示の意思表示、合意又は表明事項に取って代わるものである。本契約は、双方が署名捺印した書面によらずに修正、変更できない。
第12条 (分離可能性)本契約のひとつ又は複数の条項が司法の決定により、無効あるいは履行不能であると解釈された場合であっても、その他のいかなる条項の有効性ないし履行可能性には何らの影響も与えないものとする。甲及び乙は、無効あるいは履行不能と宣言された条項について、法令に従い甲及び乙の当初の意図を反映した条文に変更するか、又はこの時点において合意の上契約解除とする。
第13条 (譲渡)甲は、本約款に定める権利義務を第三者に譲渡してはならない。
第14条 (信義則)本契約に定めのない事項、又は本契約の条項の解釈等についての疑義を生じた場合は、甲乙間にて誠意をもって協議し、信義に則して解決するものとする。
2 上記協議が整わなかった場合は、合理的な範囲内で、甲は、乙の指示に従うものとする。
第15条 (準拠法)本契約の成立・効力・履行および解釈に関しては、日本国法が適用されるものとする。
第16条 (合意管轄)本契約に関して生じた全ての紛争について、○○地方裁判所をもって合意上の第一審の管轄裁判所とする。
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この契約を締結した証として、本契約書2通を作成し、甲乙各自その1通を所持する。
平成○年○月○日
(甲)
(乙)
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